menu

Face to Face No.117 「出会いを大切に。そして挑戦する。」

FtoF117石山真也さん
67回生 石山真也
長坂中学卒
バドミントン部
生徒会執行部
文化祭スタッフ
体育祭スタッフ
東京大学文学部人文学科卒業
株式会社Smash代表取締役 CEO

 東大卒業後、ITベンチャー企業に就職した石山さんは、子会社化した事業部門のCEOに入社一年目で大抜擢される。「僕は楽天的です。山登り型ではなく川下り型の考え方だと思います」流れに乗って勢いよく下る舟。でもその進路はちょっとした竿のひとさしで進む川筋が変わってきたのかもしれません。CEOを務めて3年目の石山さんにお話をうかがってきました。

ー塾の先生の言葉ー
 「僕の人生の最初のターニングポイントは、長田高校を目指すきっかけを与えてくれた塾の先生の一言ですね」
 もともとは星陵高校を目指していた石山さん。中学三年の学校の夏の三者面談で、このままでは星陵に行くのは難しいと言われ秋にかけて頑張り成績を伸ばした。
 これなら星陵も合格圏内かなと塾の先生に相談したら、今の状況なら長田を目指してもいいのではと即答された。
 「このまま星陵を目指して勉強しても、それ以上のレベルを求めずに甘んじてしまう。可能性があるならトップに向かって全力で頑張れ」と塾の先生は発破をかけてくれた。その言葉が長田をめざす大きなきっかけとなった。

 入学式の直後にあった部活紹介。講堂でさまざまな部活紹介を聞いたあと、そこで初めて出会った「塾の友だちの友だち」と意気投合して中庭にブラブラと降りて行ったら文化祭スタッフの先輩が活動していた。
 「スタッフの方々は、文化祭当日に校舎に吊るす暗幕のペンキ塗りをしていました。ぷーさんやガチャピンの着ぐるみ、カラフルなツナギを着て太陽の日差しの中でペンキ塗りをしている姿を見て、これが長田か!と感動しました。出会ったばかりの友人とおそるおそる、活動に興味があります、と申し出たのは、我ながら勇気があったと思います(笑)」この時の友人とは、バドミントン部、クラス、塾、浪人生活をともにすることになった。
FtoF117文化祭

 文化祭スタッフに応募したことがきっかけとなり「長田にいる間、とにかくなんでもやってやろう!」と、バトミントン部、生徒会執行部、文化祭スタッフ、体育祭スタッフ、とがむしゃらに活動した。だれも何も言わなくても本番当日には始発電車で集まる心地よい団結感。祭りのあとの後輩たちが仕掛けてくれるサプライズパーティでは、やってきて良かったと思わず涙してしまった石山さんだ。
FtoF117フィナーレ
後列中央の白Tシャツが石山さん

ー分岐点でのアドバイスー
 一年目の受験では京都大学を目指したが、浪人では東大にチャレンジしようと決めた。「同じ目標ではつまらない。マンネリ化してしまうと思いました。予備校での受験希望アンケートには、第一希望東大とちっちゃな字で書きました(笑)」もう京大は受けないと退路をたっての挑戦で見事合格。  東大合格を塾の先生にも報告に行ったら、先生に中三の塾生に講演を頼まれた。「迷ったら難しい道を。自分にとって経験できなかったことは未知で面白い。そして乗り越えたらもっとおもしろい」と話した。

 東大の理科二類に進学した石山さんだが、そこで自分の理科系科目のできなさに絶望したと言う。「受験での理科系科目はこなせていましたが、大学のレベルは想像以上に高く、まわりの連中たちとの実力の差に打ちのめされました」
 そこで文転を決意。でも楽をしようとしての決意ではない。新しいことを学んでやろうという決意だった。選んだのは言語学。言語に対する理論的アプローチだ。卒業論文では神戸弁を扱ったが、現在の事業とも関わりの強い自然言語処理(人間が日常的に使っている自然言語をコンピュータに処理させる一連の技術)なども学んだ。

 「就活は準備していなくて全く出遅れました」これはいかんと慌てて就活イベントに登録。そこで出会ったある企業の人事部の人が「おまえ、就活のことまだちゃんと考えてないな」とわざわざ別に時間をとってアドバイスをくれた。自分はどうなりたいのか、もっと真剣に考えろと言われた。

 アドバイスを素直に聞き入れ、自分の気持ちを見直した。大変な経験をすることになったとしても、20代はいろんなことを経験したい。そのためにも失敗に寛容でチャレンジさせてくれる会社がいい。これからの時代、大企業でも将来の状況はわからない。それなら、明日、自分の会社が潰れても、他の所で生きていける力をつけたい。そのためにはベンチャー企業がいい。そして常識がどんどん変わる環境で働きたい。選んだのはITベンチャーだった。

 石山さんがCEOになったのは「リテンションマーケティング」の事業部を子会社化した企業だ。リテンションとは既存顧客との関係を維持することを指し、サブスクリプションサービスが流行したことにより注目度が高まっている領域だそうだ。

 なぜ入社一年目の石山さんを大抜擢したのか?の質問に、親会社の代表取締役社長の千葉氏はこう答えている。
 「石山は未知のことにも前向きにくらいつき成果をあげていました。(中略)率直に言えば、果たして石山が年上の役員や従業員に対してリーダーシップを発揮できるのかという点は気がかりでした。ただ、経営者にも物おじせずに発言する場面が何度もあったので、彼の経営者になりたいという意志は本物だと感じ、大役を任せようと決めました」
(Goodfind「真の抜擢企業」に聞く。「若いうちから大役を任されるには?」より引用 https://college.goodfind.jp/articles/macbeeplanet-chiba-ishiyama-fujiwara/

 抜擢後、一年未満で初の資金調達も果たした石山さん。今はとにかく全力で仕事に打ち込んでいる。プライベートでの楽しみは何ですか?との質問にも「今はほとんどの時間を仕事にさいているので、すぐには思い浮かばないなあ」と答えた石山さん。しばらく考えて、「答えのない仕事の中で自分なりの成長が感じられた時かな」と付け加えた。

 石山さんは、東大入学したての六月、神撫会東京支部総会に参加。会場で支部理事が運営する屋台のたこ焼き屋「長タコ」にさっそく引き入れられ、以後、毎年お手伝いをしてくれた。
 「社会を知らない学生にとっては、なんでも相談でき、長田という共通の話題があり、そして社会人としても活躍されている多くの先輩に出会えてことは本当に良かった」と話してくれた石山さん。

 石山さんから現役長田生へ。「とにかく高校生活を思いっきり楽しんで。三年という限られた時間の中でやりたいことをやり切って。GReeeeNの『道』の中の僕の大好きなフレーズを紹介させてください」
「誰しも僕ら人生は一度! 正しい道か誰もわからないけど きっと人生はそんなところ 大事な気持ち見失わず行こう」
(2023年8月 取材、文 田中直美)

編集後記
 大学一年生の時から「長タコ」を手伝ってくれていた石山さんは、私にとっても馴染み深い後輩です。一見、もの静かにみえるので、長田時代に生徒会や文化祭、体育祭のスタッフを歴任してきていたというお話は意外でした。
 「内心燃えていても出さないタイプだし、話し方が淡々としているのでよくそう見られます」と石山さん。知識を入れる時は直感的、出す時は論理的、と自己分析。
 長田サロンなどのイベントにも顔を出してくれる石山さん。皆さんも、総会やイベントで石山さんを見かけたらぜひお話してみてくださいね。
 お話を伺っていて感じたのは、石山さんが人からのアドバイスに耳を傾ける素直さを持ちながらも、自分自身でとことん考えて答えを出し行動しているということ。頼もしい後輩の成長が楽しみです。
関連記事

0Comments

There are no comments yet.